日本の伝統文化・芸術鑑賞【薪能】

2018年10月13日土曜日                                         

岡垣サンリーアイ・ハミングホール                                             

薪能】 ãèªè½ 2018ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

 

 舞囃子高砂」,狂言「福の神」,半能「石橋」の三演目を鑑賞した。

今回の特徴は大きく二つある。一つ目は能楽堂ではなくホールで行われたこと。二つ目は若者の芸術鑑賞の入り口として提供されたこと。二つ目に関しては,「未来へつなぐプロジェクト」というものが関係している。パンフレットの背表紙にはこのように書かれている。“日本が世界に誇る伝統文化を未来へつなげていくために,地域の若い世代へ芸術鑑賞の機会を提供するプロジェクトです。地域の企業・団体・個人からの協賛により,高校生・大学生の皆さんを無料招待しています。”

 ãèªè½ 2018ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

 芸術鑑賞,特に能・狂言や歌舞伎といった日本の伝統文化は一般的には敷居が高い。その敷居を低くするためには足を運びやすくすること,まず味わってもらうことが必要である。我々若者にとっては芸術鑑賞の機会が少ないためその体験は貴重なものとなる。しかし,本当に望まれていることは貴重さではなく親しみやすさである。

 

 今回の薪能ではその親しみやすさを工夫された芸術鑑賞のあり方を学ぶことができた。

 

足を運んだ人の関心を離さないための工夫が随所に見られた。一つ目は解説である。授業でいうアイスブレイクのような解説であった。演目の紹介は現代の日常や解説者の私生活との関連付けがされており,鑑賞者の想像力を掻き立てるものであった。その時点でつかみは十分であったように思われる。少なくとも私は惹きつけられていた。

 

 二つ目の工夫は,演目がおめでたいものづくしであったことである。これは岡垣サンリーアイが25周年であることと関連付けて,お祝いを込めそのような演目になっていると紹介された。鑑賞者もおめでたいことづくしで悪い気持ちにはならない。さらには「皆さんに奇跡の目撃者になってもらいます。」などという紹介もあり,気持ちを高揚させられた。

 

 三つ目は舞囃子や半能といったダイジェスト版や後半部分に焦点を当てた演目を行ったことである。本来の演目は長時間にわたりストーリーが展開されていく。しかしそれは,初心者や若者を内容についていけなくさせたり,飽きさせたりしてしまう。演目中に鑑賞者が離脱してしまうことは芸術鑑賞の入り口としてあってはならないことである。それを解消するために本来の形ではなく,美味しい部分を切り取った形で構成されていたようだ。

 

 伝統文化でありエンターテイメントである能・狂言。外国人観光客や若者だけでなくこれまでに触れる機会がなかった人たちを取り込むことが可能であればこれからますます盛り上がるだろう。日本人でありながら,日本にいながら日本の伝統文化を知らないまま過ごしている人を一人でも会場に呼び込むための方法をさらに工夫していくことが必要である。

 

 プロジェクトとしては足を運んだ人を引き付けることができていると思われる。そこからどれほどの鑑賞者が情報発信をして新たに人を呼び込むかが課題のようだ。
人はネタバレを確認するために足を運ぶということを考えると,もっと大胆に内容を公開することも一つの手段ではないだろうか。今回の薪能は火を使った演出や豪華な衣装,人間国宝の演技など非日常を味わうことができる要素が豊富であった。これらの要素を最大限に活用することができればさらなる集客が見込めるだろう。

 

伝統を壊さずにどのように広げていくのか興味深い。

能楽協会ホームページはこちら→公益社団法人 能楽協会

演目の詳細はこちら↓

www.the-noh.com

ãèªè½ 2018ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

人間国宝 山本東次郎

山本東次郎 - Wikipedia